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児童養護施設の課題と将来像

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平成23年に作成された「社会的養護の課題と将来像」を読んだ。

www.mhlw.go.jp

 

この資料は、全国児童養護施設協議会の平成28年計画にも織り込まれている通り、社会的養護の中長期計画という位置づけ。

 

 

今回はその中の「児童養護施設の課題と将来像」について。

児童養護施設の7割が大舎制で、定員100人を超える大規模施設もある。

社会的養護が必要な子どもを、 できる限り家庭的な環境で、安定した人間関係の下で育てることができるよう、家庭的養護を強力に推進

 

小規模化 と施設機能の地域分散化による家庭的養護の推進
 ・ケア単位の小規模化 → 将来は全施設を小規模グループケア化(オールユニット化)
 ・本体施設の小規模化 → 定員45人以下に
 ・グループホームの推進、ファミリーホームの設置、里親の支援 →施設は地域の社会的養護の拠点に

 

②本体施設は、精神的不安定等が落ち着くまでの専門的ケアや、地域支援を行うセンター施設として、高機能化

 

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児童相談所が受けている虐待件数は、10数年前と比較して10倍程度に増加している。
子どもの貧困の拡大だ。

 

子どもの貧困拡大の原因は、

・経済的格差の拡大

・子どもに対する公的支出が足りていない

など。

 

昔の児童養護施設に入所してくる子ども達は、戦災孤児など、親がいない子ども達が多かった。


しかし、最近では親の経済的理由や虐待によって入所する子どもが多い。

虐待などを受けると、精神的な疾患を抱えていることも少なくないため、よりきめ細やかな養育が必要となってくる。


そのため、職員一人に対する子どもの数が少ない(きめ細やかな養育ができるグループホームやファミリーフォームを増加させようという流れとなっている(①)。

 

わたしが知らなかったのは②の方。

 

児童養護施設はより専門的なケアや研修などを行う地域のセンター化するというもの。
養護機能を地域分散化することに伴うものだろう。


確かに、グループホームやファミリーホーム、里親などは家庭に近い。
孤立して悩みを抱え込んでしまうことも起こりうるので、相談場所として児童養護施設があるとありがたいはずだ。

 

子どもの貧困が拡大している昨今で、このような児童養護施設の将来像は合理的だ。

実現されるためには、より多くの公的支出が必要となる。

 

子どもの貧困問題に、多くの人が関心を持ってくれることが大事になってくる。